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2007年2月28日 (水)

最後の「芝浜」 / 三遊亭円楽

俺、人様に比べて“怒る”って感情って極めて薄いんですよねえ~。
そりゃあ、おもしろくないこともあるにはあるんですけど、
でもねえ“怒る”ってことは、めったにないんですよねえ~。
あんまりロックっぽくない気がして、ヤになる時もあるんですが…(笑)
このブログでも、怒ったりヤな感情は書かないようにしてるんですが、
そんな俺がねえ、これはねえだろ…って、書かずにはいられなって
思ったことがあったんですよ…あんまりだろ…ってね。

円楽引退…その第一報が入ったのは、2/26の朝だったと思います。
独演会の題目は「芝浜」。その直後の引退宣言だったそうです。
笑点の司会からも退いてましたし、それほど驚きはしませんでした。
あれだけの名人の引き際ですから…それは納得しなくちゃ…
ニュースを聞いた時、そんな風に感じたんですよね。でも…

その日の夜、テレビのチャンネル変えてたら、
たまたま、日テレ系の「ZERO」で円楽引退のことをやってたんです。
そこでチャンネルを止めたんだけど…きつかったな…
画面には、結果として最後になるであろう高座の
幕が降りた裏側を映し出したんですよ…
幕が降りても立ち上がれないで、その場に崩れ落ちる円楽師匠を…

何も、そんなボロボロになった舞台裏を映さなくてもいいだろ…
芸人は、幕が上がって、客の前に姿を現してる時間がすべてだろ…
そりゃあ、幕の裏側…興味はあるよ…でも…でも…
あんな状態の円楽師匠の姿を映し出さなくてもいいだろ…
“怒り”っていうか…“憤り”っていうか…そんなのを感じました…

「この日の円楽師匠は、笑いや涙をさそってはいましたが、
全盛期のものではありませんでした…」そんなニュアンスでした。
俺の“怒り”のピークは、このコメントだったな…
ちょっと待てよっ!全盛期のじゃないって…じゃあ、おたくの局は、
何度、円楽師匠の全盛期の芸をブラウン管に映したんだよ…
笑点の大喜利や司会の円楽じゃなく、噺家としての円楽師匠を…

全盛期の円楽師匠の映像を、ろくに俺達に提供してないで、
全盛期じゃない…ギリギリの円楽師匠の映像だけ観せるのかい?
そりゃあ…あんまりだろ…
よその局ならいざ知らず、笑点で世話になってたんじゃないのかい?
別に円楽師匠をヨイショしろなんて言うつもりはないよ。
でも…でも…円楽師匠への“Respect”ってないのかい?

「芝浜」…俺はCDで志ん朝の「芝浜」しか聞いたことないんですが、
この噺はもう好きで好きで、何度も何度も聞きましたね。
あ…俺、そんなに落語通、落語マニアでもないんですけど…(苦笑)
チャボと梅津さんのライブに新宿に行ったとき、
はじめて末廣亭で寄席を体験して、カルチャーショックでしたよ。
それから、上京する時は、たまに寄席に行っちゃうんですよね。

円楽師匠の落語は「芝浜」どころか、何も聞いたことありません。
そんな俺が何を怒ってるんだ…って、自分でも思うんだけど、
でもね…もっともっと“Respect”の仕方ってあるだろ…
そんな風に感じたんですよえ~。
今…無性に「芝浜」…聴きたいです…円楽師匠の「芝浜」を…

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コメント

うん! 見せていい事と悪い事がある!
色々テレビ番組の問題があるけど、
せめてニュース番組だけでも、凛としてて欲しいもんです。

投稿: さらん | 2007年3月 1日 (木) 00時17分

★さらんさん
なんかねえ~…「笑点」の局だけにショックでかいですよ。
「笑点」のスタッフ…どう思ったのかな…とか。
もうねえ…たまらんですよお~…

投稿: RE2O | 2007年3月 1日 (木) 06時12分

自分も見ました。
全然この世界のことはわかりませんが、同じような感想を自分も持ちました。

あれだけの人になれば弾き際ってのは自分が決めること。
裏側を見せる必要はなかったと思います。
しかもそれだけを見せるのは失礼極まりないですね。

それでもやるっていうなら、全盛期もちゃんと織り込んだ「波乱万丈」スペシャルバージョンでやるべきだと思いますね。

自分も含めて、その芸を知らない人ばかりがTV見てるのですから。

投稿: | 2007年3月 1日 (木) 14時31分

◆RE2Oさん
倅のクラスメイトのお父さんに三遊亭門下の落語家さんがいます。僕も時々高座を観に行ったり一緒にお酒飲んだりしてるんですけど、そういう時、落語家さんってのは芸術家なんだなあってしみじみ感じますよ。高座ではおどけて見えるけど、実はすごく繊細な感性が芸を支えてるんです(そういうところはCHABOや清志郎のライブとも共通するものを感じてます)。

ミュージシャンや落語家は大衆芸能の芸術家なんだよね。前から思ってたんだけど、そういうリスペクトに欠けたTV番組ってたくさんあるように思います。今回の件もそうだし、トークでミュージシャンをいじるのとかも、ほんと止めて欲しいなあ…。

投稿: Y.HAGA | 2007年3月 1日 (木) 16時23分

★恭さん
恭さんも見ましたかあ~?あれはないですよねえ~。
なんかねえ、年寄りイジメにも見える構成でしたよね。
もしかして、つくる側にそんな気がないとしても、
その感性はまずいと思うんだよねえ~。
それ以来、なんか無性に寄席に行きたくなっております~(笑)

★HAGAさん
すげえ~っ!そんな裏側だったら、俺も交ざりたいですよっ!(笑)
そうだよね、ホンモノの芸人さんって“粋”だと思いますよ。
最近は、演者としての芸人さんより、
素の部分だけがクローズアップされてる気がしますね。
ちゃんとした番組つくっても、視聴者ついてくると思うんだよね。

投稿: RE2O | 2007年3月 2日 (金) 06時45分

今回のことに限らないけど、視聴率欲しさに何でもかんでも興味本位で晒してしまうテレビは、本当にいただけません。私も落語はほとんど知らないけど、円楽師匠の芸や、それに対する師匠自身の誇りに対して、もっと敬意を払うべきですよね。

しかし…RE2Oさんが「あんまり怒らない」てのはちょっと意外でした。義憤に燃える正義感、なイメージがあったもので(笑)。←悪い意味でじゃないですよ、もちろん

投稿: ayako | 2007年3月 2日 (金) 11時03分

★ayakoさん
バラエティー気分な番組が多すぎるよねえ~。
何でもかんでもバラエティーでいいのかよっ!…って思いです。
しかし…「義憤に燃える正義感」ですかあ~…
ははは。イメージは音を立てて崩れましたねえ~(笑)
手塚の『火の鳥』にはまってからかな…
何が正義で、何が悪か…って、簡単に片付けられない気がしてね。
この話しは長くなりそうだから、いつか…ね。

投稿: RE2O | 2007年3月 2日 (金) 22時02分

円楽ですか。
芝浜ですか。

僕が芝浜をはじめて聞いたのは円楽でした。
芝浜がすぐに好きになりました。
声に魅力のある人でした。
好きな噺家の一人です。

僕はたぶん全盛期の円楽を知りません。
もともと絶句することのある人でしたね。
何かはらはらとする噺家でした。
あれが芸なのか僕は知りませんが。
引退は残念です。

「今度会ったら怒ってやります」
という歌丸のコメントをどこかで見ました。
僕も同じ気持ちでした。

投稿: take-paraiso | 2007年3月 6日 (火) 01時25分

★takeさん
takeさんも「芝浜」好きなんですねえ~。いい噺ですよね。
円楽の「芝浜」…聴きたいなあ~…つくづく、そう思いますよ。
歌丸のコメントは、はじめて知ったけど、愛情を感じるよね。
「笑点」は、ホンモノの寄席とは違うけど、
「笑点」がなかったらって思うとゾッとします…
日曜の晩飯前は、ずっと「笑点」でしたからねえ~。

投稿: RE2O | 2007年3月 6日 (火) 06時15分

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