農と食の再生をめざして
この土日、母校の岩手大学人文社会科学部の大講義室に
20年ぶりに訪れ、学習してきました。
決して、未履修の単位が発覚したわけじゃないですよお~。
「農を変えたい!東北集会inいわて」に参加したんです。
「生産者と消費者がいっしょに、農と食の再生をめざして」
というのが、大会のキャッチコピーです。
いやあ~想像以上に中味の濃い、有意義な二日間でした。
食糧自給率39%の日本。さらにオーストラリアとの経済連携で、
大量の農産物が、この国になだれ込もうとしています。
俺が生まれた1965年は、食糧自給率は73%でした。
それが約40年で、半分になろうとしてるんですよ。
さらに、今国会で紛糾している原油と同じように、
食糧は投機の対象になってますからねえ~。
6割以上の食糧を輸入に頼っている日本は、この先、
どうなっちゃうんだ…そんな重い空気の中で始まりました。
ですが、参加した方は、みんな元気っ!
参加者は東北を中心に200名。有機農法を実践している農家、
生協、農協、流通関係者、消費者の方と様々です。
平均年齢は50歳以上かな…農家の方からは「後継者がいなくて
大変だ」って声も聞かれたんですが、こんな方もいました。
「私をはじめ、ここに来てる百姓は60~70が多いですね。
でも、私達は少なくとも、あと10年は大丈夫です。
今の世の中、10年先が見えている業界は他にないぞ!」
どうです?この先輩達の元気のよさっ!負けられませんよ。
フードマイレージって言葉も今回のキーワードでしたね。
「食品の輸送される量(t)と距離(km)を掛け合わせたもの」が
フードマイレージで、その値が高いほど、CO2の排出量が多く、
環境に対して大きな負荷になっているそうです。
一昔前は、土産土法って、四里四方で採れた食べ物を
その土地の食べ方で、食べてたんですよねえ~。
岩手に住んでれば、意識さえすれば、
今日からフードマイレージを激減させられるんですよっ!
俺が印象に残ったのは、茨城大学農学部の中島先生による
「農と食の再生のための課題」と題した記念講演。
冒頭、中島先生は、頻発する食品偽装問題に触れました。
ミートホープ、白い恋人、比内地鶏、赤福、船場吉兆…
確かにやったことは悪いが、マスコミの報道のされ方と、
「食をつくる」ということには、大きな開きがあると…
国が定めた賞味期限を越えた肉を使ったのには問題があるが、
じゃあ、肉はいつ食べるのが本当においしいのか…
つぶしてすぐより、2~3ヶ月経ったのがおいしいんじゃないか。
廃鶏もそう。若鶏よりも、熟成した鶏の方が、ある意味
うまいのではないか。日本の食文化なんじゃないか。
賞味期限切れの牛乳は、置いておけばヨーグルトになる。
ヨーグルトはチーズになるんだよって。
中島先生は、マスコミでは表面的にしか伝えない、
日本本来の食文化を丁寧に話してくださいました。
国の基準を破るのはいけない…しかし、国の基準を守って
さえいれば、本当にいい食品なのか…
法には、国家の法と、自然の法があるとも言ってました。
本当のコンプライアンスって、自然の法を守ることなのかな…
そんなことを考えさせられましたね。
講演の最後、中島先生は「ここにいる私を含めた年代の方々が、
この危機的な日本の農業の枠組みをつくってきたのです。
ですが、私達はこの誤りに気付いています。
次の世代に警鐘を鳴らすのが私達の役割です。」と語りました。
もう俺達は、上の世代のせいにできるほど若くありません。
食と農の再生のために、自分自身ができること…
とりあえず、ここに書きなぐることかな…そう思って書いてます。
大学生だった頃は意識しなかったけど、宮沢賢治が学んだ
この場所で、農業を学ぶことができてうれしかったですね。
岩手の農民のためにつくした賢治ですが、生前は、
それが活かされることは残念ながらありませんでした。
今、賢治の想いを俺達が叶えなきゃならないのかもしれません。
そんなことを感じた、真冬の週末でした。
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